2016年6月18日土曜日

拡大する「ブックシェア」

 当館がオープンした3年まえに、本を借りてくださる方たちの組織名を「sxブックシェアクラブ」と命名した。sxは「サザンクロス」の略語。「ブックシェア」は当館の蔵書がすべて篤志家からの寄贈本であり、貴重な本の所有者がライブラリーの利用者と「読書の楽しみ」を分かち合い、さらに利用者同士が情報などを分かち合うという意味をこめたつもりだった。

 ところがつい先週、ラジオを聴いていて、「ブックシェア」という言葉が別の意味でも普及しはじめていることを知った。日曜日の朝6時から9時まで、J-WAVEで平井理央さんがナビゲートしているWONDER  VISIONという番組でのことだ。理央さんの少し鼻にかかった声と美しい日本語、それに持続可能な社会に向けてのビジョンの幅広さに惹かれて、よく聴いている番組である(ちなみに彼女はフジテレビの出身で、ぼくの遠い後輩です)。

 番組では「ブックシェア」という言葉が、音楽の「リクエスト」と同じ意味で使われていた。リスナーがラジオで聴きたい曲をリクエストする慣習は昔からあるが、最近のラジオはそれを「ミュージックシェア」と称し、ラジオというメディアを通じてリスナーが他の見知らぬリスナーとその曲を分かち合うという意味で使われるようになっている。

 ひと昔まえの日本語の「シェア」は、「マーケットの何パーセントのシェアがある」などのように、ビジネス界でよく使われていた言葉だった。「市場占有率」「取り分」の意味が大きかった。それがいつの間にか、「だれかと分かち合う」「みんなで分かち合う」という意味の方が大きくなってきた。3年まえの命名は間違っていなかったらしいと、ラジオを聴きながらホッとした次第である。

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